警察署から家に戻った私は車を降り、玄関へ向かった。
内心どこかで、”もしかしたら彼は今回のことで本当に反省してくれるかも”と期待をしていた。
ドアを開けようとすると
”え・・・開かない・・・鍵かかってる・・・”
私はあの時とっさに車の鍵だけを持って飛び出したから、家の鍵は置いていっていた。
何度もノックをするが彼は出ない。インターホンも鳴らし続けるが、まだ出ない。
何度もしつこくしつこくインターホンを鳴らし、”開けて”と言い続けようやく
ガチャ
鍵が開いた。扉を開くとそこには彼と彼の娘も起きてきていた。
(喧嘩の際は彼女は既にベッドで寝ていた。だが喧嘩が大きすぎて起きてしまったのだ)
”なんだ、俺らを捨てて出て行ったのに、戻ってきたのか”
既にこの家の中で私の立場は完全に悪者。二人を置いて飛び出た悪者。
私は呆れて何も言えなかった。
娘のいる前で・・よくもそんなことを・・・私は全てを置いて彼と彼女のために渡米して頑張ってきたのに・・
もうその時の私は怒りと絶望しかなかった。
彼は続けて言った。
”お前は俺らを置いて出て行った。そんなお前は〇〇(娘)の母親なんかじゃない。俺らの家族なんかじゃない。というよりも、一度も本当の家族だった瞬間はない。”
置いて出て行った・・・?私はあの場に居続けたら自分の命が危ないと思う状況だったのに、それを私があなたたちを置いて出て行ったってどういう言い草・・?
もしかしたら私が家を出ている間に反省して、ごめんの一言くらいあるかな、って期待した私がばかだった。
この彼の態度、そして私に放った言葉を聞いて、私の中で何かがすっと消えた。
今まで悩んでたことや、苦しめられていたものから解放されたかのような、もうどうでもよくなった、という言葉が一番合っているだろうか。
心の中で私は決断した。
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